とある街のエステサロン様より、ホームページ等のご相談がありました。
駅から徒歩2分の立地でエステサロンを営む会社様の女性店長から、ネット活用全般のコンサルティング依頼が入りました。
当店は昨年、店舗を改装しました。今までのお客様にも喜んでいただきたいのはもちろんですが、ぜひ新しいお客様に来ていただきたいと思っています。
商圏内にチラシをまくなど、従来型の宣伝はしています。しかしネット活用は未着手で、ぜひお知恵を貸していただきたいのです
この業界は既存客の満足度が極めて高いことで知られています。つまり既存客の高いリピート率が事業運営の生命線ですが、その既存客も、引越しなどで徐々に減っているとのことでした。
また低価格帯の類似品に切り替える既存客も徐々に出て来ているそうです。
初回ご支援では、店長がもともと興味を持っていたSNS、特にFacebookページの開設と運用についてレクチャーさせていただきました。
実際の運用ではパソコンではなくスマホからの投稿が多くなるだろう、とのことから、スマホアプリの導入や操作、商品写真を上手に撮るコツなども交えてご支援をさせていただきました。
わあ!欲しかったFacebookページが手に入りました!これでタイムリーな情報発信ができますね。
喜んだ女性店長の表情を見て、私もホッと一安心しました。
しかし…
■■従来型の「宣伝」の域を出ない投稿■■
その後2週間ほど、このエステサロン様のFacebookページの投稿内容を眺めていました。
そこには「従来型の『宣伝』」としか言いようのない投稿が連なっていたのです。
「新商品が届きました!ぜひお早めにご来店ください」
「ポイント10倍セール!このチャンスをお見逃しなく!!」
「スタッフおススメの商品は、なくなり次第終了です」
そもそも、雑誌を眺めるような気持ちで「なんとなく」利用されるSNSにおいて、「いかにも宣伝です」という表現はNGです。「また、この店の宣伝か」と、読み飛ばされてしまうのが関の山でしょう。
しかしこの場合、一番のNGポイントは「新しい客に目を向けない投稿内容」です。
特定商品を薦めることや、ポイントアップキャンペーンの訴求が響くのは、あくまでも「そのお店で買い物することに慣れている」既存客です。
この業界は「既存客の高いリピート率が事業運営の生命線」であるということは既にお話ししましたが、PR自体、既存客向けのものしか念頭になく、そのことに何の疑いも感じていないご様子でした。
私は急きょ、店長様に連絡し、2回目のご支援日程の調整をしました。
■■新しいお客様に伝えるべきこととは?■■
永友先生、投稿内容が『まるで宣伝臭く、しかも既存客にしか伝わらない』なんて、考えてもいませんでした。ショックです…
女性店長は肩を落としました。
「安心してください。PRの書き方とその意味は、これからお伝えします。貴店のような業界が総じて既存客向けのPRに終始していることが分かり、私も勉強になりました。でもこれからは、新しいお客様を呼び込むために、新しい切り口のPRを考えていきましょう。」
では、「新しいお客様を呼び込むために」訴求するべきことは何か。
それは「利用エピソード」に他なりません。
新しいお客様、例えば引越してこの街に移り住んできたかた。いままでその商品を使う年齢ではなかったかた。その商品を使う必要がなかったかた。
そういった「今まではそのお店に行ったことがなかったけれども、状況が変わって、行ってもよい状況になったかた」が知りたいのは、新しい商品が出たことでも、ポイントが10倍になることでもないはずです。
・自分のような状況で、このお店に行くことが相応しいのかどうか?
という確認に他なりません。
逆に言えば、エステサロン様が「新しいお客様を呼び込むために」訴求するべきことは、
・このPRを読んでいるあなたのようなかたも、実際にいま当店にお越しになっていて、実際にご満足されていますよ
という説明、つまり「来店エピソードの描写」なのです。
エピソード(自店の「使われかた」)を描くことは、自分に相応しい(自分も利用して構わない)と思わせる(初来店の敷居を下げる)効果が期待できます。
1、【客層を描写する】
・年齢はどうか?
・性別はどうか?
・住まいはどうか?(近いのか、遠くから来ているのか?)
・個人なのか?グループなのか?
2、【利用シーンを描写する】
・どういう「生活スタイルの変化」で来店したのか?
・どういう「イベント」(年間行事)で来店したのか?
・どういう「トラブル」で来店したのか?
・どこで出会ったから(どういうご縁で)来店したのか?
3、【課題を描写する】
・どういう「悩み」で来店したのか?
・どういう「不安」で来店したのか?
4、【利用度合を描写する】
・どれくらいの「頻度」で来店しているのか?
・どれくらいの「滞在時間」か?
5、【感想を描写する】
・お客様はどんな感想を言ったか?
このようなことを、エステサロン様にはぜひ描いていただきたいと思います。
ネット活用で上手くいっているお店は、商品情報を連呼することは決して無く、このようなエピソードの描写が非常に上手いものだと思います。
その後、このお店様は新規客が1.5倍に増えました。「アドバイスを素直に聞く」「まずやってみる」「継続する」…この3箇条を実践している素晴らしい女性店長様の笑顔はとても輝いていました。
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ホームページコンサルタント永友事務所代表(→永友一朗プロフィール)
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(公財)神奈川産業振興センター登録経営アドバイザー
(公財)横浜企業経営支援財団登録横浜ビジネスエキスパート
(公財)千葉市産業振興財団登録専門家
(一社)日本皮革産業連合会企業支援ネットワーク登録Web活用アドバイザー
川崎商工会議所専門相談員
鎌倉商工会議所専門相談員
川崎市中小企業サポートセンター(公益財団法人川崎市産業振興財団)登録専門家
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